温泉地ガイド

群馬県内には令和5年3月末現在で96か所の温泉地、459の源泉があります。そのうち宿泊施設のある主だった温泉地について、県内を吾妻、利根沼田、西部、中部、東部の5つの地域に分け、特にその温泉の歴史等を中心にご紹介します。

吾妻地域

浅間山、草津白根山等の山々の広大な山麓は、日本を代表する山岳、高原などの自然に恵まれた観光スポットが広がっています。四季を通じアウトドアスポーツが楽しめます。温泉王国ぐんまの中でも歴史のある名湯が集まるエリアで、草津、四万、沢渡、川原湯、万座、鹿沢を始め数多くの温泉地があります。

草津温泉

草津温泉は、白根火山のふもと標高1,200mの高原にある自噴湧出量全国一の名湯で、硫化水素を含む高温で強酸性であり、強力な殺菌力を持つのが特徴です。熱い源泉を草津節に合わせながら木の板で混ぜ湯温を下げる、伝統の「湯もみ」でも有名です。滔々と源泉が流れる「湯畑」の周囲に風情ある温泉街が広がり、四季を通じて多くの観光客で賑わっています。開湯は古く、日本武尊が東征のおりに発見したとも伝えられており、江戸時代には、温泉番付で最高位の東の大関に選ばれています。また、明治時代に政府がドイツから招聘した東京医学校(現東京大学医学部)内科教授ベルツ博士は、特別な効能のある温泉であると絶賛しました。

写真1:湯畑(昼:写真提供:草津温泉観光協会)
写真1:湯畑(昼:写真提供:草津温泉観光協会)
写真2:湯畑(夜景:写真提供:吾妻観光連盟)
写真2:湯畑(夜景:写真提供:吾妻観光連盟)

草津温泉の中心にあり、源泉を冷ます目的と湯の花をとるための湯桶が設置されています。毎分4,000㍑の源泉が自然湧出している源泉地。

写真3:白根神社(写真提供:草津温泉観光協会
写真3:白根神社(写真提供:草津温泉観光協会

温泉街を見下ろす囲山(かこいやま)にあり、日本武尊を祭神とする。広大な境内は囲山公園となっており、多くの文化財や史跡、句碑があります。


写真4,5:温泉感謝祭(写真提供:草津温泉観光協会)

毎年8月に開催される草津町一番の祭典。温泉女神などによる古式ゆかしい儀式や民謡大衆踊り、手花火などが2日間にわたって盛大に行われます。

四万温泉

四万温泉は、清流四万川の渓谷に沿って日向見(ひなたみ)、ゆずりは、新湯(あらゆ)、山口、温泉口の5つのエリアからなる温泉街で、平安時代初期、坂上田村麻呂が蝦夷征伐の際に入湯したとの言い伝えがあります。また、源家のある家臣が当地を訪れた際、「四万種類の病を治す霊泉を授ける」とのご神託を聞き、湧出する温泉を見つけたのが名前の由来と言われています。湯治場として古くから賑わい、昭和29(1954)年には、温泉の効能が顕著で湧出量が豊富、付近一帯の景観が優れていることなどを条件とする「国民保養温泉地」に第1号として指定されました。42か所の源泉中、自然湧出は39か所。泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉。飲泉所も数多く設けられています。

写真1:四万温泉全景(写真提供:四万温泉協会)
写真1:四万温泉全景(写真提供:四万温泉協会)

温泉街には、信号機やコンビニもなく、夜は闇に包まれ満天の星を仰ぎ見ることができます。


写真2,3:奥四万湖(写真提供:吾妻観光連盟)

温泉街の最奥部にあり、四万ブルーと呼ばれる神秘的な湖面が印象的で、四季折々多彩な表情を見せてくれます。

写真4:湯立て神事「温湯の儀」(写真提供:中之条町観光協会)
写真4:湯立て神事「温湯の儀」(写真提供:中之条町観光協会)

大釜に「御夢想の湯」から汲み上げた温泉を焚き、「湯笹」を使って湯を周囲に振りかけ、神仏の心をいさめ、諸災を除き、無病息災を願います。

写真5:日向見薬師堂(写真提供:四万温泉協会)
写真5:日向見薬師堂(写真提供:四万温泉協会)

慶長3(1598)年に、領主真田伸幸(信之)の武運長久を祈願して建立されました。群馬県内最古の木造寺院建築です。安置されている「日向守貞光寺薬師瑠璃如来」は四万温泉の代表的な湯泉明神として大切に祀られてきました。

沢渡温泉

上沢渡川沿いの静かな環境に位置し、草津温泉の湯治客の仕上げの湯、治し湯として知られてきました。無色透明の肌にやさしい泉質で、「一浴、玉の肌になる美人の湯」といわれており、温泉地内には治療に温泉を利用する病院もあります。

写真:沢渡温泉街(写真提供:中之条町観光協会)
写真:沢渡温泉街(写真提供:中之条町観光協会)

尻焼温泉

長笹川の川底から温泉が湧きだしており、そのまま露天風呂として利用していることで有名です。昔、河原に穴を掘り、そこに尻を入れ療養したことが名前の由来といわれています。

写真1:源泉 尻焼温泉(写真提供:中之条町観光協会)
写真1:源泉 尻焼温泉(写真提供:中之条町観光協会)

「川の湯」の川底から温泉が湧いています。

写真2:ネドフミ(写真提供:群馬県文化財保護課)
写真2:ネドフミ(写真提供:群馬県文化財保護課)

アルカリ性の温泉にスゲなどの植物をつけて適度な柔らかさに整え、ゾウリやムシロに加工する「ネドフミ」は、国の無形民俗文化財に指定されています。

鳩の湯温泉川中温泉松の湯温泉

東吾妻町の鳩の湯は、江戸時代初期の開湯と伝わる1軒宿があります。山あいの静かで素朴な味わいがあり、保養や静養に格好の場といえます。同じく東吾妻町の川中温泉は、日本「三美人の湯」のひとつとして知られています。開湯は古く、源頼朝の旗本侍が長くここに留まり治療したという言い伝えがあります。また、松の湯温泉は、明治時代の開湯で「ぬる湯」が湯治客に人気の1軒宿です。

川原湯温泉

長野原町にある川原湯温泉は、源頼朝が浅間に狩りにきたとき発見し、入浴したと伝わっています。平成26年7月、八ッ場ダムの建設により吾妻渓谷を望む地から、高台の新天地に移転しました。毎年1月20日の未明に行われる「湯かけ祭り」は有名です。

写真1:湯かけ祭り(写真提供:吾妻観光連盟)
写真1:湯かけ祭り(写真提供:吾妻観光連盟)

源泉である王湯を中心に1月20日未明に行われ、「お祝いだ」「お祝いだ」と叫びながら湯をかけ合います。

万座温泉

嬬恋村にある万座温泉は、草津白根山の直下、標高1,800mと高地にある温泉で、周辺は原生林におおわれています。強度の硫化水素を含み、高温で湯量豊富な温泉です。開湯は古く戦国時代に入湯の記録があり、江戸末期には湯宿ができたといわれています。

雄大な自然美に包まれ、四季を通じて温泉保養と自然探勝でにぎわい、特に冬は良質の積雪に恵まれ、スキーヤ-で賑わいます。

写真1:万座温泉の景観(写真提供:万座温泉観光協会)
写真1:万座温泉の景観(写真提供:万座温泉観光協会)
写真2:露天風呂(写真提供:万座温泉観光協会)
写真2:露天風呂(写真提供:万座温泉観光協会)

写真3:冬の露天風呂(写真提供:嬬恋村観光協会)
写真3:冬の露天風呂(写真提供:嬬恋村観光協会)

白濁した湯は、硫黄濃度日本一と言われています。

写真4:嬬恋村指定史跡:熊四郎岩窟・稲綱宮  (写真提供:万座温泉観光協会)
写真4:嬬恋村指定史跡:熊四郎岩窟・稲綱宮 (写真提供:万座温泉観光協会)

洞窟内から弥生式土器が発見され、太古の時代から温泉が利用されてきたのではと推測される遺跡です。


鹿沢温泉

唱歌「雪山賛歌」発祥の地として知られ、標高1,500mの浅間山麓にあります。昭和43年には国民保養温泉地に指定されており、素朴な山の温泉気分が味わえます。春には高原に国の天然記念物に指定されているレンゲツツジが咲き、夏は避暑、秋は紅葉、冬はスキーと四季を通じて自然が楽しめます。長野県東御市から鹿沢温泉までの道路脇には、1町(約109m)ごとに湯道の安全を祈願した百体の観音が設置されており、いにしえの温泉信仰が偲ばれます。

写真1:鹿沢温泉 雲井の湯(写真提供:嬬恋村観光協会)
写真1:鹿沢温泉 雲井の湯(写真提供:嬬恋村観光協会)

利根沼田地域

壮大な谷川連峰を背景にした奥利根は、良質な源泉に恵まれた風雅な温泉があり、三国峠界隈に点在する温泉は景勝に恵まれ、美しい湿原と白い水芭蕉に代表される尾瀬の周辺は、四季折々の自然が楽しめます。みなかみ18湯、老神、尾瀬、片品、川場など多くの温泉地があります。みなかみ18湯のうち、上牧温泉、奈女沢温泉、湯宿温泉、川古温泉、猿ヶ京温泉、法師温泉は、国民保養温泉地に指定されています。

水上温泉

水上温泉の由来は四百年以上前と古く、かつては「湯原の湯」といわれ。昭和6(1931)年の上越線開通により水上駅が設置されたことから水上温泉と呼ばれるようになりました。利根川の渓谷に沿って、温泉街が形成されており、自然美に囲まれ、四季を通じて楽しめる温泉地です。温泉街の近くには、諏訪峡などの景勝地のほか、多くの詩人や作家の歌碑が点在し、文学散歩の道筋を彩っています。

谷川温泉

約六百年前に発見されたといわれ、谷川岳南麓の渓流沿いにあり、四季豊かな自然を楽しめる清閑な保養温泉地です。

湯檜曽温泉

谷川岳のふもと、湯桧曽川沿い湧くに古湯です。歴史は古く、鎌倉から室町時代にかけて奥州の豪族阿部氏一族が、この地で川辺に湧く豊かな出で湯を発見し、「湯のひそむ村」から、湯檜曽になったといわれています。

宝川温泉

藤原湖の北部に流入する宝川沿いにある1軒宿で、日本武尊が東征中、一羽の白鷹に導かれて湯を発見し、病をいやしたという伝説があります。川沿い大きな4つの湯船のある大露天風呂は有名で、海外からも多くの入浴客が訪れています。

写真1:宝川温泉の露天風呂(写真提供:みなかみ町観光協会)
写真1:宝川温泉の露天風呂(写真提供:みなかみ町観光協会)

湯ノ小屋温泉

水上温泉郷の最奥部にあり、鎌倉時代には奥州藤原氏が隠棲した温泉といわれています。落人伝説の里「藤原郷」の風物を十分味わうことができます。

上牧温泉

上越新幹線「上毛高原駅」と関越自動車道「水上I・C」からほど近く、JR上越線上牧駅から徒歩でいけます。利根川沿いに旅館・ホテルや温泉病院などが並んでいます。肌にやさしく「化粧の湯」とも言われ、家族連れや女性に人気があります。また、谷川岳の展望がよいことでも知られています。

 写真1:山下清が貼絵で原画を描いた「大峯沼と谷川岳」の壁画のある「はにわ風呂」  (写真提供:みなかみ町観光協会)
 写真1:山下清が貼絵で原画を描いた「大峯沼と谷川岳」の壁画のある「はにわ風呂」 (写真提供:みなかみ町観光協会)

猿ヶ京温泉

国道17号沿いの赤谷湖のほとりにあり、新緑と紅葉の美しいところです。江戸時代の発見といわれ、古くは「湯島の湯」・「笹の湯」として赤谷川渓谷に旅館が点在していました。昭和34(1959)年に相俣ダムの完成により水没、猿ヶ京温泉として新生し、ダム湖の湖畔にはホテルや旅館が建ち並んでいます。県指定史跡の猿ヶ京関所跡などがあります。

湯宿温泉

9世紀中ごろ弘法大師の開湯といわれ、古くから利用されてきました。江戸時代の宿場としての面影が今でも残り、共同浴場が点在し、風情のある家並みが残っています。

川古温泉

赤谷川上流にあり、四季おりおりの自然が楽しめます。発見は江戸時代中ごろで、「川古のみやげは、一つ杖をすて」と詠われてきました。ぬるめの湯で身体を温めると、神経痛やリウマチなどのよく効くといわれ長期滞在の湯治客に人気があります。

法師温泉

三国峠の南麓、山間の秘湯1軒宿で、弘法大師が東国行脚のおりに発見したとのいわれから名付けられました。法師川の瀬音が聞かれ風情があふれており、多くの文人墨客が訪れています。本館、法師乃湯、別館は、国の登録有形文化財に指定されています。全国でもまれな浴槽の足元から源泉が湧き出る鹿鳴館風の大浴場法師乃湯は、旧国鉄のフルムーンパスの広告で、熟年夫婦の入浴シーンに使われたことでも有名です。

写真1:法師温泉法師乃湯(写真提供:みなかみ町観光協会)
写真1:法師温泉法師乃湯(写真提供:みなかみ町観光協会)

老神温泉

沼田市にある老神温泉は、その昔、赤城山と日光二荒山の神々の領地争いがあり、 赤城の神がこの温泉で傷をいやし、二荒の神を追い返したことから「おいがみ」と名付けられたといわれています。尾瀬や日光への途中、片品川沿いの渓谷の両岸に静かなたたずまいを見せる昔ながらの湯の街で、アレルギー皮膚炎の人には特に効く温泉として利用されています。

 

川場温泉

川場村の武尊山の南麓にある川場温泉は、弘法大師が日光に赴く途中発見したと いわれ、源泉も「弘法の湯」と呼ばれています。古くから「脚気川場」の霊泉として知られています。

武尊温泉

標高2,158mの武尊山の南麓、薄根川沿いにあります。赤倉峡、武尊山の探勝、登山の足場として利用されています。

尾瀬温泉片品温泉

片品村には、国の特別保護地域に指定されている「尾瀬」があり、その周辺にはいくつもの温泉があります。尾瀬温泉片品温泉は、肌触りの柔らかいアルカリ性の温泉で、山歩きのあとの疲れを癒やしてくれます。

丸沼温泉

金精峠を通って日光へ抜ける国道沿いの、標高1,430mの原生林に囲まれた丸沼のほとりにある1軒宿です。開湯は江戸時代中期と伝えられています。冬季は金精道路とともに閉鎖されます。

西部地域

西上州・西毛地域とも呼ばれるこの地域には、高崎市ほか3市5町村があり、ユネスコの世界文化遺産に登録された「富岡製糸場と絹遺産群」や、世界の記憶に登録された「上野三碑」など、歴史を物語る多くの史跡や遺跡があります。また、荒々しい岩肌が創り出す景観が特徴の妙義山は、登山の初級者から上級者まで人気があります。閑静な雰囲気の温泉が点在し、磯部温泉、霧積温泉、八塩温泉などが昔から有名です。

磯部温泉

安中市にある磯部温泉の開湯は、天明3(1783)年、日本三大奇勝妙義山を間近に望み、清流碓氷川河畔にある閑静な湯の街です。明治時代の中頃には、井上馨をはじめ多くの政府要人が好んで別荘をたてました。また、北原白秋、若山牧水、島崎藤村ら多くの詩人や文人が滞在し作品を残しています。温泉マークの発祥の地といわれ、炭酸含有泉を使った「磯部せんべい」は有名です。

写真1:磯部温泉街(写真提供:安中市観光機構)
写真1:磯部温泉街(写真提供:安中市観光機構)
写真2:8月15日開催の磯部温泉まつり花火大会  (写真提供:安中市観光機構)
写真2:8月15日開催の磯部温泉まつり花火大会 (写真提供:安中市観光機構)

写真3:碓氷川の精霊流し(写真提供:安中市観光機構)
写真3:碓氷川の精霊流し(写真提供:安中市観光機構)
 写真4:温泉マーク発祥の地の石碑:(写真提供:安中市観光機構)
 写真4:温泉マーク発祥の地の石碑:(写真提供:安中市観光機構)

霧積温泉

安中市の霧積温泉は、群馬と長野県境の自然環境に恵まれた古くからの湯治場であり、1軒の温泉宿は静けさに満ちています。

藤岡温泉猪ノ田温泉八塩温泉

藤岡市には、藤岡温泉猪ノ田温泉八塩温泉などがあります。

八塩温泉は、神流川沿いにひっそりと佇む温泉宿で、「塩の湯口八ツ所」として知られたことから八塩温泉と名付けられました。付近には、最澄が天台宗を開創後、東国布教の根拠地としたと伝わる古刹、浄法寺があります。

写真1:藤岡温泉(写真提供:藤岡市観光協会)
写真1:藤岡温泉(写真提供:藤岡市観光協会)

大自然から湧き出るpH10.0の天然温泉

無色無臭のアルカリ性の温泉は、肌に優しく皮膚の保湿効果が期待できる「美肌の湯」

写真2:猪ノ田温泉(写真提供:藤岡市観光協会)
写真2:猪ノ田温泉(写真提供:藤岡市観光協会)

「絹の湯」の源泉名を持つpH9.1の強アルカリ性冷鉱泉は、古くから薬師の湯と呼ばれ、皮膚病に効く湯治場です。絹のようにやわらかで滑らかな湯は、アトピーニにも効果があるといわれています。

写真3:八塩温泉(写真提供:藤岡市観光協会)
写真3:八塩温泉(写真提供:藤岡市観光協会)

塩分が強く無色無臭の鉱泉は、古代6500万年 ~ 200万年前の地殻変動によって、海水が地中に閉じ込められていて、それが現在湧き出ていると言い伝えられています。

写真1:榛名湖温泉(写真提供:高崎観光協会)
写真1:榛名湖温泉(写真提供:高崎観光協会)
写真2:倉渕川浦温泉(写真提供:高崎観光協会)
写真2:倉渕川浦温泉(写真提供:高崎観光協会)

写真3:くらぶち相間川温泉(写真提供:高崎観光協会)
写真3:くらぶち相間川温泉(写真提供:高崎観光協会)

妙義温泉

富岡市の妙義神社近くにある妙義温泉には、妙義山と関東平野を一望できる露天風呂があります。(日帰り施設)

写真1:もみじの湯(写真提供:富岡市観光協会)
写真1:もみじの湯(写真提供:富岡市観光協会)

下仁田温泉

四方を山に囲まれた広大な敷地に庭園や池や小川がある1軒宿で、泉質は含二酸化炭素 炭酸水素塩泉です。

浜平温泉向屋温泉塩の沢温泉

村面積の94%が森林という上野村には、その大自然の中に、浜平温泉向屋温泉塩の沢温泉の3つの温泉があります。


写真1,2,3:浜平温泉(写真提供:上野村観光協会)

中部地域

赤城山の西南麓、榛名山の東麓から広がる中部地域にも多くの温泉地があり、全国的に有名な伊香保温泉、赤城山南麓に赤城温泉郷があります。

伊香保温泉

渋川市にある伊香保温泉は、榛名山の東斜面にある365段の石段の美しい湯の街です。今から2千年前に発見されたと伝えられており、天正4(1576)年に武田勝頼が真田昌幸に将兵の療養所の造成させたことが温泉街の始まりといわれています。源泉から斜面に温泉を通す石段街を軸にした温泉街が形成されました。江戸時代には本格的な湯治場として隆盛し、明治時代にはベルツ博士が訪れ、温泉医学の原典「日本鉱泉論」をまとめました。徳富蘆花の小説「不如帰」で全国に紹介され、また、竹下夢二ゆかりの地でもあります。

近年は、榛名山へ通じる峠道を舞台とするアニメの聖地として有名で、海外からも多くの観光客が訪れています。

写真1:伊香保温泉街
写真1:伊香保温泉街
写真2:石段街
写真2:石段街

赤城温泉郷

前橋市の赤城山南麓には、赤城温泉、忠治温泉、滝沢温泉からなる赤城温泉郷があります。歴史は古く、温泉の守護仏・薬師尊石像は応仁元年(1467)の作であり、元禄2年(1689)には、前橋藩主酒井雅楽頭が「諸人人助けのため」として湯小屋を作らせました。前橋藩松平家記録にも、藩士やその家族が病気療養のため湯治に利用した数多くの記録が残されています。名峰赤城山の南麓の標高950mに位置し、関東平野が一望できます。

写真1:赤城温泉貸し切り風呂(写真提供:前橋観光コンベンション協会)
写真1:赤城温泉貸し切り風呂(写真提供:前橋観光コンベンション協会)
写真2:忠治温泉大浴場(写真提供:前橋観光コンベンション協会)
写真2:忠治温泉大浴場(写真提供:前橋観光コンベンション協会)

写真3:滝沢温泉大浴場(写真提供:前橋観光コンベンション協会)
写真3:滝沢温泉大浴場(写真提供:前橋観光コンベンション協会)

小野上温泉

渋川市の小野上温泉は、美人の湯で知られる塩化物泉で、公共機関が日本で初めて設置した日帰り温泉施設も人気があります。

東部地域

名峰赤城山の東山麓から始まる東上州は、田園と輸送機器製造・食品製造業などの工業地域が広がっています。宿泊施設のあるは薮塚温泉と梨木温泉の2カ所です。

薮塚温泉

天智天皇のころ行基上人により開かれたとの伝説があり、元弘3(1333)年に新田義貞が鎌倉攻めの折、傷ついた将兵をここで湯治させたと伝えられてい  ます。付近には、温泉神社、スネークセンター、三日月村などの見どころが多く、疲労回復など万病に効く温泉として愛されてきました。


写真1、2:薮塚温泉(写真提供:太田市観光協会

梨木温泉

桐生市にある梨木温泉は、坂上田村麻呂が赤城神社造営の折に発見したといわれ、赤城山の東南麓の自然に恵まれた環境の中に、明治12(1879)年創業の1軒宿があります。